徒然なる日々のそんな話
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あぁ…
月と星が鮮やかに輝く夜。
冷たい空気に、あたしの感嘆の吐息が。
溶けて、消えた。
突如、目の前に現れた「一枚の絵」に。
あたしは、魅せられる。
月光に映える金の髪。
光り輝く一対の、純白の羽…
何時も見てるはずの後姿に、あたしは目とココロを奪われる。
そして、思い知る。
この人は、自分とは違う。、のだと。
時折、疎ましいとさえ呟くその羽は。
決定的な違いを突きつける。
解っていたのに。
「解っていた」ことと「思い知る」ことは全くの別次元だと。
いまさら、気づく。
あたしのような、ただのニンゲンからすれば、永遠と思える時を渡り歩く種族。
何時も気軽に触れていたそれに、急に気後れを感じて、手を止めた。
こんなに、この背中は遠かった?
触れるだけで壊れそうな、完璧な絵。
ぐっと握り締めてたこぶしは、いつの間にか胸をかきむしる。
思い知ったことを、理解してしまったことを認めたくなくて。
ゆるゆると頭を振った。
本当は……だなんて。
ん?と、眼差しが振り返る。
逆光の中でもはっきり見えるその瞳に全部映し出されそうで。
知られたくなくて、認めたくなくて。
崩れそうになる心を叱咤して。
何時ものように。
勝気に笑った。
月と星が鮮やかに輝く夜。
冷たい空気に、あたしの感嘆の吐息が。
溶けて、消えた。
突如、目の前に現れた「一枚の絵」に。
あたしは、魅せられる。
月光に映える金の髪。
光り輝く一対の、純白の羽…
何時も見てるはずの後姿に、あたしは目とココロを奪われる。
そして、思い知る。
この人は、自分とは違う。、のだと。
時折、疎ましいとさえ呟くその羽は。
決定的な違いを突きつける。
解っていたのに。
「解っていた」ことと「思い知る」ことは全くの別次元だと。
いまさら、気づく。
あたしのような、ただのニンゲンからすれば、永遠と思える時を渡り歩く種族。
何時も気軽に触れていたそれに、急に気後れを感じて、手を止めた。
こんなに、この背中は遠かった?
触れるだけで壊れそうな、完璧な絵。
ぐっと握り締めてたこぶしは、いつの間にか胸をかきむしる。
思い知ったことを、理解してしまったことを認めたくなくて。
ゆるゆると頭を振った。
本当は……だなんて。
ん?と、眼差しが振り返る。
逆光の中でもはっきり見えるその瞳に全部映し出されそうで。
知られたくなくて、認めたくなくて。
崩れそうになる心を叱咤して。
何時ものように。
勝気に笑った。
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昔。
「君と僕の、悲しい歌が好きだね」
そんな風に言われたことを。
ふと、思い出した。
「…そうかな?」
そんなように、答えた気がする。
今なら、なんて答えるだろう。
自分と相手の歌なんかいっぱい有るじゃないか。
悲しい歌が好きなんじゃないよ。
悲しいから好きなんじゃないよ。
…違うな。
「悲しいかな?優しく、ない?」
悲しいかもしれない、切ないかもしれない。
でも、時には不器用な、時には素っ気無い。
でも、確かな温かさと優しさの、うた。
自分に一番足りない、優しさが。
此処には、溢れてる。
聞いたくらいで、己のものに出来るわけでもないけど。
それでも、って思ってしまう。
ねぇ、聞いてみてよ。
悲しくなんか、ない。
優しさのうたを胸いっぱいに吸い込んで。
言葉と言う風に乗せてみよう。
…ちょっと悲しい。
ちょっと切ない。
でも、優しくなれるよ。
きっと、ね。
「君と僕の、悲しい歌が好きだね」
そんな風に言われたことを。
ふと、思い出した。
「…そうかな?」
そんなように、答えた気がする。
今なら、なんて答えるだろう。
自分と相手の歌なんかいっぱい有るじゃないか。
悲しい歌が好きなんじゃないよ。
悲しいから好きなんじゃないよ。
…違うな。
「悲しいかな?優しく、ない?」
悲しいかもしれない、切ないかもしれない。
でも、時には不器用な、時には素っ気無い。
でも、確かな温かさと優しさの、うた。
自分に一番足りない、優しさが。
此処には、溢れてる。
聞いたくらいで、己のものに出来るわけでもないけど。
それでも、って思ってしまう。
ねぇ、聞いてみてよ。
悲しくなんか、ない。
優しさのうたを胸いっぱいに吸い込んで。
言葉と言う風に乗せてみよう。
…ちょっと悲しい。
ちょっと切ない。
でも、優しくなれるよ。
きっと、ね。
何時からだろう。
この腕に、足に、身体に、ココロに。
見ない糸が引っ掛かり出したのは。
その糸は増え、きつく締め上げ、呼吸と自由を奪う。
痛い…苦しい…
喘ぐ。
音にすら成らないような声で。
誰か…どうか…
願う。
何千何万と同じコトを。
わずかにしか動かない指を空へと掲げ。
何時からだろう。
こうなってしまったのは。
止まりそうな思考で。
誰が、何が。
自分をこうした?
消えそうな声で。
あぁ、でも。
もう、どうでも良くなってきた。
こうなってまで、何を望んでいたか。
こうなってまで、何を求めていたか。
もう、この声は誰にも届かない。
もう、この手は誰にも触れられない。
だから、もういい。
言いたかったことも。
聞きたかったことも。
山ほどあったはずなのに。
ねぇ…?
ふぅ、と細く長く吐き出された吐息。
………。
誰かに、何かに、何かを。
最期に伝えて。
掲げていた指が、力なく落ちた。
この腕に、足に、身体に、ココロに。
見ない糸が引っ掛かり出したのは。
その糸は増え、きつく締め上げ、呼吸と自由を奪う。
痛い…苦しい…
喘ぐ。
音にすら成らないような声で。
誰か…どうか…
願う。
何千何万と同じコトを。
わずかにしか動かない指を空へと掲げ。
何時からだろう。
こうなってしまったのは。
止まりそうな思考で。
誰が、何が。
自分をこうした?
消えそうな声で。
あぁ、でも。
もう、どうでも良くなってきた。
こうなってまで、何を望んでいたか。
こうなってまで、何を求めていたか。
もう、この声は誰にも届かない。
もう、この手は誰にも触れられない。
だから、もういい。
言いたかったことも。
聞きたかったことも。
山ほどあったはずなのに。
ねぇ…?
ふぅ、と細く長く吐き出された吐息。
………。
誰かに、何かに、何かを。
最期に伝えて。
掲げていた指が、力なく落ちた。
ぼふっ、と思いっきり身体を預けた。
途端に広がる草の香。
こそこそ、っと顔をくすぐる。
目の前には遮るもののない。蒼い空が広がって。
まぶしいお日様が元気に顔を出してる。
少し身体を起こせば、地の果てまで広がる草原と並行する雲海。
色んな場所を冒険して。
世界の果てまでも踏破し、見てきたあたしの、お気に入りの場所のひとつ。
とりあえず身の危険もない、穏やかな大地のど真ん中で。
ゆっくりと目を瞑る。
太陽の匂い。
草の匂い。
風の匂い。
………。
意識の隅に感じた温かい気配。
投げ出しままの手に触れる柔らかさ。
…キミの香り。
何も言わず。
ただ傍らに座り、時折手を握り直したり、指を弄んでいる。
…なに?こんなトコにまで探しに来たの?
重い瞼。
醒めない思考。
出ない言葉。
必死に指先を動かすと。
応えるように淡緑の瞳が穏やかに笑った。
太陽の匂い。
草の匂い。
風の匂い。
…キミの香り。
まどろむ意識に笑顔を抱えて。
なんだか嬉しい気分のまま、眠りに落ちる。
そんな優しい午後のひととき。
途端に広がる草の香。
こそこそ、っと顔をくすぐる。
目の前には遮るもののない。蒼い空が広がって。
まぶしいお日様が元気に顔を出してる。
少し身体を起こせば、地の果てまで広がる草原と並行する雲海。
色んな場所を冒険して。
世界の果てまでも踏破し、見てきたあたしの、お気に入りの場所のひとつ。
とりあえず身の危険もない、穏やかな大地のど真ん中で。
ゆっくりと目を瞑る。
太陽の匂い。
草の匂い。
風の匂い。
………。
意識の隅に感じた温かい気配。
投げ出しままの手に触れる柔らかさ。
…キミの香り。
何も言わず。
ただ傍らに座り、時折手を握り直したり、指を弄んでいる。
…なに?こんなトコにまで探しに来たの?
重い瞼。
醒めない思考。
出ない言葉。
必死に指先を動かすと。
応えるように淡緑の瞳が穏やかに笑った。
太陽の匂い。
草の匂い。
風の匂い。
…キミの香り。
まどろむ意識に笑顔を抱えて。
なんだか嬉しい気分のまま、眠りに落ちる。
そんな優しい午後のひととき。
…一人にしないで…
消えそうなか細い声で、キミが言った。
もう、一人はいやなんだ…
数歩先を行くあたしの足が止まる。
一人は耐えられないよ…
ぽろぽろと零れる、まるで独り言のような悲しみを。
あたしは一体どんな顔で聞いていたんだろう。
…なんで…そんなコトを言うの?
笑い合える友人が居るじゃない。
肩を並べられる友人が居るじゃない。
決して一人ではないはずなのに。
キミは独りと言う。
あたしと同じ、どこか頑ななココロを抱くキミの口から。
初めて紡ぎ出される、悲しみの歌。
…一人にしないで、一緒に居て。
どうして、あたしに願うの?
あたしは何も出来ない。
キミの力になることも、支えになることも、側に居ることすらも。
何ひとつ、まともに出来やしないのに。
どうして、あたしを求めるの?
何ひとつ、あたし自身のコトすら解ってないのに。
それでも、何故だろう。
繰り返される歌を聴きながら。
あたしはキミの前に跪く。
大丈夫だよ。
そんなコトバが口を突いた。
何故だろう、何ひとつ答えを見つけられなかった、あたしのココロが…
たったひとつ、答えを手に入れた。
たったひとつ、決めた。
初めて約束する。
初めて誓う。
自分以外の「誰か」に。
…もしかするとあたし自身が望みながら、知らなかった振りをしていただけなのかもしれない。
それくらい、穏やかによどみなく。
居るよ。キミの、側に。
だから、悲しまないで。
驚いたように上がったキミの顔。
しばらくして。
涙で濡れたキミがようやく笑った。
…行こう。一緒に。
…行こう。共に在るために。
消えそうなか細い声で、キミが言った。
もう、一人はいやなんだ…
数歩先を行くあたしの足が止まる。
一人は耐えられないよ…
ぽろぽろと零れる、まるで独り言のような悲しみを。
あたしは一体どんな顔で聞いていたんだろう。
…なんで…そんなコトを言うの?
笑い合える友人が居るじゃない。
肩を並べられる友人が居るじゃない。
決して一人ではないはずなのに。
キミは独りと言う。
あたしと同じ、どこか頑ななココロを抱くキミの口から。
初めて紡ぎ出される、悲しみの歌。
…一人にしないで、一緒に居て。
どうして、あたしに願うの?
あたしは何も出来ない。
キミの力になることも、支えになることも、側に居ることすらも。
何ひとつ、まともに出来やしないのに。
どうして、あたしを求めるの?
何ひとつ、あたし自身のコトすら解ってないのに。
それでも、何故だろう。
繰り返される歌を聴きながら。
あたしはキミの前に跪く。
大丈夫だよ。
そんなコトバが口を突いた。
何故だろう、何ひとつ答えを見つけられなかった、あたしのココロが…
たったひとつ、答えを手に入れた。
たったひとつ、決めた。
初めて約束する。
初めて誓う。
自分以外の「誰か」に。
…もしかするとあたし自身が望みながら、知らなかった振りをしていただけなのかもしれない。
それくらい、穏やかによどみなく。
居るよ。キミの、側に。
だから、悲しまないで。
驚いたように上がったキミの顔。
しばらくして。
涙で濡れたキミがようやく笑った。
…行こう。一緒に。
…行こう。共に在るために。